
熊野三山を“正しい順番”で巡りたい。でも車なしで、しかも1日って…無理じゃない?



バスの乗り継ぎが難しそうで、どこからどう回ればいいかわからない…
このようなことを考えたことはないでしょうか。
熊野三山(熊野三社)は、車なしでも“1日で周れます”。
ただし実現させるには、特に午前のバス移動を確実に予定通り行うことと、各地での滞在時間の使い方を考える必要があります。
この記事では、筆者が過去に実行した際のルートをもとに、情報を追加しながら、車なしで熊野三山を巡る方法を紹介します。
✅ 本記事の内容
- 車なしで熊野三山を1日で巡るための、現実的な回り方
- “正しい順番(本宮→速玉→那智)”で回るモデルコース
- 失敗しないための「逆算」と「悠遊フリー乗車券」の購入方法
✅ 本記事の信頼性
- 実際に1日乗車券を使用して1日で巡ることができることを検証済み
- 深夜バス・電車・徒歩旅を30回以上も経験
- 国内と総合の「旅行業務取扱管理者資格」と「世界遺産検定2級」を取得済み
この記事を読むと、「車なしでも、準備さえすれば熊野三山を1日で周れる」ことが分かり、次にやるべきことが明確になります。
「充実した旅にしたいけど、失敗したくない」という方は、ぜひ最後までどうぞ。
熊野三山巡りは車なしで1日でできる?
改めてお伝えすると、熊野三山(熊野三社)は、車なしでも“1日で周れます”。
まずは基本情報として、正しい参拝の順番を確認するとともに、1日で巡るのためのポイントを紹介します。
「正しい順番」は本宮→速玉→那智
厳密には、公式に案内されている順番というものはありません。
ただ、一般に伝わっているのは「熊野本宮大社→熊野速玉大社→熊野那智大社」の順番です。
平安時代、上皇・法皇が熊野詣をする際に、京都から紀伊半島を西側から周り、中辺路(現在の田辺市)と呼ばれる道を通って、この順番で巡ったことに始まるようです。
熊野三山(熊野三社)って?
- 熊野本宮大社(くまのほんぐうたいしゃ・和歌山県田辺市)
- 熊野速玉大社(くまのはやたまたいしゃ・和歌山県新宮市)
- 熊野那智大社(くまのなちたいしゃ・和歌山県那智勝浦町)
※「三社」と「三山」はほぼ同じ意味で使われます(3つの主要聖地の総称)。
車なしで周るポイントは「午前中のバス」と「拝観時間」


車なし1日制覇のカギは、(1)午前のバス、(2)拝観時間の管理です。
熊野エリアはバス本数が多い都市部とは違い、1本逃すと“詰む”からです。
例えば、この日最初に乗る新宮駅から熊野本宮大社に行くバスの始発は新宮駅7:10発で、このバスに乗れるかどうかで、成否が変わります。
そして本宮は、本殿だけで終わらない場所。
本殿以外にも、産田社(うぶたしゃ)、大斎原(おおゆのはら)、真名井社(まないしゃ)まで回わり、御朱印もいただくとなると、時間がかかります。
バスのフリーパス「悠遊フリー乗車券」は車なし旅のマストアイテム
熊野三山のバス旅では、熊野御坊南海バスのバス路線のみ使用します。
旅の前に、同社が販売しているエリア内のバスの乗り降りが自由になるフリーパス「悠遊フリー乗車券」を必ず購入しましょう。
1日券から3日券まであり、1日券であれば3,000円です。一見すると高いように見えます。
しかし、新宮駅と熊野本宮大社は片道1,560円なので、往復だけで元をとれてしまいます。
加えて、今回紹介するルートでは、通常のバス代は4,600円かかるので、かなりお得です。さらに一部施設での優待もあります。
フリーパスなので小銭やICカード残高の心配が不要になり、新宮駅周辺の徒歩区間も、バスを使って楽に移動できます。
なお、買い方には後戻りできない注意点があるので、後述の「熊野三山巡りを成功させる3つのコツ」で紹介します。
熊野三山巡りを1日・車なし・正しい順番で回るコース
今回は新宮駅を始発とした、バスだけで巡る場合の1日の流れを紹介します。
時刻表は改正されるので、熊野御坊南海バスのホームページを参照してください。
1日のスケジュール
今回紹介する旅のスケジュールは以下の通りです。特に朝一のバス、熊野本宮大社からの帰りのバスは、時間を後ろにずらせないので注意です。
終着は那智駅としていますが、最後のバスを乗り続けると紀伊勝浦駅に行けるほか、那智駅で新宮駅行きのバスに乗り換えることも可能です。
07:10 新宮駅 発
08:09 本宮大社前 着(本宮大社参拝)
10:00 本宮大社前 発
10:52 神倉神社前 着(神倉神社+速玉大社+昼食)
13:29 新宮駅 発
14:09 那智駅 着
14:33 那智駅 発 乗換
14:51 那智山 着(那智大社+青岸渡寺+飛龍神社)
17:12 那智山 発
17:29 那智駅 着
朝:熊野本宮大社へ





朝は“始発のバスで熊野本宮大社に到着する”必要があります。
バス停から本殿までは距離があるうえ、周辺が行くべきところが多く、1時間ではとても周りきれないため、滞在時間を作る必要があります。
しかし、後の行程もあるため、次のバスの時刻を考えて逆算をすると、始発に乗るという選択肢しかありません。
熊野本宮大社へは、新宮駅から熊野御坊南海バスの川丈線(かわたけせん)に乗ります。
時刻表を確認し、新宮駅7:10発の始発に乗車します。バスは進行方向右に熊野川を見ながら進み、最寄りの本宮大社前には8:09に到着します。
もしもこのバスを逃すと次は8:40発。到着も9:39と1時間30分遅れることから、帰りも1本遅らせると、本宮大社前12:15発になり、午後の予定が完全に崩れます。
帰りは本宮大社前10:00発の新宮駅行きで戻ります。
朝の出発を遅らせたいなら川湯みどりやで前泊
朝の出発を遅らせたい場合の策として、筆者がとったのは、前日に「山水館 川湯みどりや」に宿泊をすることです。
ここは、新宮駅からバスで約1時間、熊野本宮大社の近くにある川湯温泉(かわゆおんせん)にある宿で、熊野川の支流、大塔川(おおとうがわ)の河原から温泉が湧き出る天然露天風呂があります。
川湯みどりやでは、宿泊した人向けに、翌朝8:00・9:00・10:00に、熊野古道・熊野本宮大社方面に送迎をしていただけます。チェックイン時に送迎利用を希望しましょう。
8時出発で熊野本宮大社までは約6分。始発バスと変わらない時間に到着できるので、朝は宿の朝食をいただくことが可能です。
川湯温泉の宿からの送迎は、近くの富士屋でもしていますが、始発が9:00なので、川湯みどりやの方が良いです。
- 新宮駅7:10発の始発に必ず乗車
- 朝が苦手なら、前日に川湯みどりやに宿泊して、送迎を希望する
熊野本宮大社での流れ
- 新宮駅 →(川丈線)→ 本宮エリア
- 本殿参拝→産田社→大斎原→真名井社→本殿まで戻り授与所で御朱印(※後述のポイント参照)
- 本宮大社前から10:00発の新宮駅行きのバスに乗車
昼:新宮で熊野速玉大社と神倉神社





昼は熊野速玉大社と、その摂社である神倉神社(かみくらじんじゃ)に参拝します。
神倉神社は熊野速玉大社の摂社で、権現山の中腹にあり、熊野権現が初めて地上に降臨した伝承があるパワースポットです。
バスは「神倉神社前」が最寄りで、熊野速玉大社よりも手前でバスを降ります。
この2社の間は約1kmと、そこまで離れていないので、バスを神倉神社前(10:52着)で降りて、先に神倉神社に参拝した後、歩きか1バス停分バスに乗って、熊野速玉大社へ向かいます。
熊野速玉大社参拝後は、ランチや周辺の他の観光スポットを見て、今度は那智駅方面に向かうバス路線・新勝線(しんかつせん)に乗ります。
このバスは紀伊勝浦駅が終点で、途中の那智駅で降ります。ここで那智山線(なちさんせん)に乗り換え、那智山を目指します。
昼の動き(イメージ)
- 本宮エリア →(川丈線)→ 新宮(神倉神社)
- (徒歩またはバス1区間)→ 速玉神社
- ランチ(海鮮系)か新宮城跡や阿須賀神社などのスポットへ
- 新宮駅13:29発の那智駅に向かう新勝線に乗車
- 那智駅での乗り換え待ちの間、駅併設の道の駅なちで、お土産や展示を見る。
- 那智駅14:33発の那智山に向かう那智山線に乗車
午後:熊野那智大社+青岸渡寺+飛瀧神社





午後は那智周辺の神社仏閣や施設が閉まるまでに回る必要があります。
那智エリアは見どころが縦に連なり、しかも夕方に向けて時間が足りなくなりがち。
新宮駅から那智駅で乗り換えて那智山方面へ行き、熊野那智大社と青岸渡寺(せいかんとじ・隣接)を回り、最後に那智の滝がある飛瀧神社(ひろうじんじゃ)へ向かいます。
参拝を終えたら、お土産を購入します。
熊野本宮大社を車なしで回る3つのポイント
ここからは、バスに乗り遅れずに満足した旅ができるよう、各地での滞在中やその前に確認すべきポイントを紹介します。
まずは熊野本宮大社からですが、ここは広い敷地の中に見どころが点在しており、いずれの場所へも徒歩で移動するので、時間が溶けます。
御朱印をいただく時間等を考え、時間と体力を気にしながら周りましょう。
①本殿だけで終わらない|時間配分と体力に注意


熊野本宮大社は“見どころ全部盛り”にすると、時間も体力も削られます。
参道の階段の上り下りに加えて、大斎原などで歩行距離が増えるからです。
熊野本宮大社の参拝の順番は以下の通りです。
- 1.「熊野十二所権現」を祀る本殿
- 2.伊邪那美命(いざなみのみこと)の荒御魂を祀る産田社(うぶたしゃ)
- 3.かつて熊野本宮大社があった場所で、日本一の大鳥居がある聖地大斎原(おおゆのはら)
まずは本殿参拝をして、一度参道を降りて産田社と大斎原へ行き、参拝後に時間と体力を確認しましょう。
余裕があれば、熊野本宮大社の末社で神事などで使う聖水が出る井戸・真名井社(まないしゃ)や本宮大社前バス停前にある熊野信仰などの歴史を学べる世界遺産 熊野本宮館に行きましょう。
全部回ることができれば良いですが、バスに乗り遅れたらリカバリーが難しいので、まずはバスに遅れないように気を付けましょう。
②御朱印は授与所でまとめて|動線と時間を見込む


熊野本宮大社では、各所を参拝した後、御朱印をいただくのに、時間と体力を使います。
授与所は熊野本宮大社の参道を上がった本殿の手前にあり、本殿の他、産田社、大斎原、真名井社の御朱印もすべてここでいただくからです。
そのため、時間をかけて一周した後で、再度参道を上がり、御朱印をいただいたのち、また参道を下がってバスに間に合わせる必要があります。
真名井社まで含めた移動距離は約3km、上り下りを考えると、歩く時間だけで50分以上かかることになり、結構ハードです。無理は禁物です。
③「大斎原前」バス停を使うと徒歩を削れる(本殿まで戻らない人向け)
本殿→産田社→大斎原と参拝したあと、本殿に戻らない場合、別のバス停からバスに乗ることで、徒歩を減らすことができます。
大斎原を西に抜けた後、小さな鳥居を抜けて、バス通りの168号線沿いに出て、右に曲がります。
右に曲がると、2018年に有志によって建立された、熊野本宮ヤタガラスサッカー必勝祈念碑があります。
そしてその先に「大斎原前」バス停があります。ここから本宮大社前10:00発の新宮行きのバスに乗れます(大斎原前10:01発)。
これで、本宮大社前バス停へ歩く必要がなくなります。時刻表にも「大斎原前」の停留所が載っているので、必ず確認しましょう。
なお、真名井社に行く場合は、小さな鳥居を抜けてバス通りに出た後、左に曲がります。
熊野速玉大社と神倉神社を車なしで回る3つのポイント
熊野本宮大社を10:00に出るバスに乗れたことで、最大の難関を超えました。以後は1本遅れても致命傷ではなくなります。
安心したところで、このまま熊野速玉大社に向かっても良いですが、速玉大社前バス停基準で、予定の次のバスまで約2時間40分あるほか、昼食には早すぎます。
そこで、熊野三山巡りをより充実したものにするため、神倉神社(かみくらじんじゃ)に向かいます。
神倉神社は熊野速玉大社の摂社で、新宮市中心部の西側にある権現山の中腹にあります。
熊野権現が初めて地上に降臨した伝承があるパワースポットで、山から眺める新宮の街並みや海の景色はとても良いです。
バスは「神倉神社前」バス停が最寄りで、熊野速玉大社よりも手前でバスを降ります。
後述しますが、神倉神社の階段は、熊野本宮大社以上に上り下りがハードなので、油断禁物です。
①神倉神社は険しい手すりなし階段|歩きやすい靴が必須





神倉神社は、軽い気持ちで行くと痛い目に遭います。
天ノ磐盾(あまのいわたて)という険しい崖の上にあることから、583段ある階段は、斜度があり、一段が高く、手すりがないため、かなり怖い思いをします。
熊野本宮大社の参道や、後述する熊野那智大社前の大門坂とは難易度は段違いです。
運動靴推奨です(革靴・ソール薄い靴は避けましょう)。
②神倉神社→熊野速玉大社は徒歩約11分(バス1区間も可)


神倉神社から熊野速玉神社までは約1kmなので、歩いた方が早いことがあります。
街の中心部ということもあり、道のりは平坦なアスファルトで舗装された道です。
ただし、足が疲れていたり、雨が降っていたりしていれば、1区間(神倉神社前→速玉大社前)だけバスに乗る選択もありです。
新宮駅から神倉神社周辺までのエリアは、先ほどまで乗っていた川丈線以外にも、各地から新宮駅に向かう路線が合流していて、バスの本数が多いです。
なお、神倉神社の御朱印は、熊野速玉大社でいただけます。
③ランチは新宮駅周辺で海鮮が定番


筆者は昼食をとらずに、熊野川沿いにある阿須賀神社に行きましたが、昼食をとるなら、寿司・海鮮が定番です。
- 徐福寿司 駅前店(熊野灘でとれたさんまを使った熊野の名物、さんま寿司を食べるなら)
- かつ田(寿司、丼、定食など、様々な海鮮を楽しむなら)
- 総本家 めはりや 本店(高菜の漬物でご飯をくるんだ紀州の郷土料理、めはり寿司が有名)
徐福寿司 駅前店とかつ田は新宮駅前、総本家 めはりや 本店は熊野速玉大社の近くにあります。
熊野速玉大社から新宮駅までは約1.2km。「速玉大社前」バス停から新宮駅までバスで行くか、徒歩で行きましょう。
新宮駅から熊野那智大社がある那智山に向かうためには、那智駅を経由する必要があり、まずは新宮駅13:29発の新勝線で那智駅に向かいます。
時刻表上では、新宮駅14:00発のバスでも乗り換えのバスには間に合いますが、乗り換え時間は5分しかありません。
バスは遅れる可能性があるので、あえて1本前に乗っています。
一方、那智駅に向かうバスは30分ごとに出ているので、新宮駅周辺でやることがない、那智山の時間を多めに作りたい場合は、さらに前のバスで出発しても良いです。
また、新宮駅から那智駅までは電車で行くこともできますが、今回は「悠遊フリー乗車券」を事前購入しているので、交通費を抑えるべく、バスで那智駅に行きます。
この「悠遊フリー乗車券」については、後述の「熊野三山巡りを成功させる3つのコツ」内で紹介します。
もしも総本家 めはりや 本店で昼食をとってから直接那智駅に向かう場合は、徒歩3分のところにある「信用金庫前」バス停(13:35発)からでも同じバスに乗車可能です。
熊野那智大社を車なしで回る3つのポイント
熊野那智大社がある那智山も、熊野本宮大社同様、広い敷地の中に見どころが点在しており、いずれの場所へも徒歩で移動するため時間がかかります。
熊野古道の構成要素である大門坂(だいもんざか)という、バスを使わずにあえて歩きたいポイントもあるほか、到着が15:00前ということもあり、各施設の営業時間が気になりだします。
選択によって降りるバス停が変わるので、時間と体力を踏まえて、バスの出発までに方針を決めておく必要があります。
以下で決断すべきポイントを説明します。
那智駅で乗り換え|道の駅なちか補陀洛山寺へ


新勝線は那智駅に14:09に到着します。ここで、那智山に向かう那智山線に乗り換えます。
那智山線は14:33発なので、バスが来るまで、那智駅に併設されている「道の駅なち」へ。
お土産の購入や周辺の情報収集、さらには八咫烏や、日本サッカーの始祖と云われる、紀伊勝浦町出身の中村覚之助氏の関係で、サッカー関連の展示もありました。
余裕があれば、さらに隣の世界遺産情報センターで熊野詣の歴史を見たり、現在は閉鎖中ですが、日帰り温泉を楽しんだりすることもできます。
もしくは、駅から歩いて3分の補陀洛山寺(ふだらくさんじ)を参拝するのも良いです。
後述する青岸渡寺(せいがんとじ)の別院で、熊野の世界文化遺産の構成要素の1つです。
那智駅の東側は海岸で、かつて僧侶が僅かな食糧を積み、外へ出られないように釘付けをした状態で航海に出て、海の先あるとされる観音浄土、補陀洛山(ふだらくさん)に往生しようとする修行「補陀落渡海(ふだらくとかい)」が行われており、ここはその出発点として知られています。
那智駅→那智山|途中下車で大門坂(熊野古道体験)も可能


那智山線の乗ると、途中、大門坂(だいもんざか)の入口を通過します。世界文化遺産になった熊野古道の巡礼路の一部で、石畳の道が熊野那智大社の表参道まで続きます。
折角の機会ですから、「大門坂」バス停で降りて、ぜひ自然と歴史に触れてほしいところですが、体力と時間との相談になります。
大門坂バス停から大門坂を上り、那智山の表参道まで行くのに約1.3km・約25分、そこからさらに熊野那智大社までは約400mの階段・上り坂の参道が続きます。
もう少し楽をしたい場合は、入口からでなくとも、次の「熊野古道」バス停で降りることで、大門坂を途中から入ることができます。
夫婦杉や樹齢800年の大クスノキは通過してしまいますが、石畳の道を歩くことができ、大門坂バス停で降りるのと比較して、表参道までの徒歩を半分にできます。
大門坂を歩かない場合、終点の那智山バス停には14:51に到着します。
熊野那智大社の奥に青岸渡寺


那智山では、熊野那智大社のほかに、青岸渡寺(せいがんとじ)にも参拝しましょう。
青岸渡寺は裸形上人によって開基された仏教寺院で、神社(那智大社)と並ぶ「神仏習合」の那智山を感じる場所です。
熊野那智大社とは隣接していて、青岸渡寺を通過して、那智の滝がある飛瀧神社(ひろうじんじゃ)に向かいます。
飛瀧神社に向かう道の途中に、三重塔があります。三重塔の奥に那智の滝を見ることができ、2つを一緒に写真に収めることができます。


那智の滝(飛瀧神社)は閉まり始める前に|帰りのバス時刻を再確認


神社仏閣の授与所は16:30まで。16:00を過ぎると、特に飛瀧神社の拝観・参拝の動線が閉まり始めます。
幸い那智山発の那智山線は、16:27発、17:12発、18:04発と本数があります。
飛瀧神社から那智駅・紀伊勝浦駅に帰る場合は、入口のところにある「那智の滝前」バス停でも乗車可能です。約550mの徒歩を減らせます。
お土産を買う場合は、後述の割引の関係で、那智山バス停脇にある那智山観光センターに寄るのが良いです。
ただし、閉店は17:00と余裕があるので、寄るのは最後にして、まずは神社仏閣を周りましょう。
熊野三山巡りを成功させる3つのコツ
ここからは、具体的に熊野三山巡りを成功させるために必要なことをまとめます。
コツ1:熊野三山巡りは「行程を逆算」してルートを組む
熊野の旅は「先に各地で何をするかと帰りの時間を決める」ことが大事です。
神社仏閣の授与所や施設が開いている時間は決まっているので、その中で確実に周る必要があります。
特に午前中は、バス本数が限られ、1本逃すとその後の行程が大きくずれてしまいます。
逆算の手順
- 最終的に戻りたい駅(新宮/那智/紀伊勝浦)を決める
- そこに“何時までに着きたいか”決める
- 那智の滞在時間 → 新宮の滞在時間 → 本宮の滞在時間の順に戻す
- その時間に合うバス便だけを使う(合わない観光は切る)
体力勝負なところもあるので、無理せず、途中で行程を変える選択肢を持っておくことも大事だと思います。
コツ2:車なしは悠遊フリー乗車券がマスト|買い方と注意点





今回の旅では悠遊フリー乗車券が“必須の装備”です。
冒頭での説明の通り、新宮駅と熊野本宮大社の往復だけで元をとれ、フリーパスなので、1区間だけのバス利用の判断や小銭やICカード残高の心配が不要になります。
さらに、那智山観光センターでのお買い物5%割引になるなど、優待もある最高の切符です。
今回の旅はバスだけで完結させられるので、交通費はこれ以外にかかりません。
現在の料金は以下の通り。
- 1日:3,000円(子ども1,500円)
- 2日:3,500円(子ども1,750円)
- 3日:4,000円(子ども2,000円)
購入方法について、これまでは、新宮駅や紀伊勝浦駅の熊野御坊南海バスのきっぷ売り場で、買う必要がありました(厳密には他にもありますが、今回の旅の行程上、前日に行かない場所です)。
新宮駅の売り場は8:30、紀伊勝浦駅でも8:00まで開かず、かつ有効期限は発行日基準のため、前日に2日券を買う必要がありました。
しかし、2024年3月からジョルダンの「乗換案内」アプリでモバイル購入が可能になっています。
「1日券」か「2日券」かの考え方
- 基本的に、実施当日にモバイルで1日券を購入するのが安いです。
- きっぷを紙でほしい場合は、実施前日に、きっぷ売り場で2日券を購入するしかありません。
- 川湯温泉や湯の峰温泉で前泊するなら、2日券の方が得です。新宮駅から川湯温泉・湯の峰温泉まで、ともに片道1,570円なので、この区間に乗るだけのために2日券を購入しても元が取れます。
コツ3:那智山で16時を超える|滝を先にするか後にするか、大門坂を上がるかを決める


那智山は優先順位を決めて、後悔のないようにしましょう。その場で迷うと、時間だけが溶けていきます。
特に大門坂を上るかどうかは、バスを降りる場所を変える要素になり、後戻りするのは大幅時間ロスになるので、最初に決めておきましょう。
一方で、夏場であれば日が落ちるまで時間があるので、参拝や買い物を終えてから、大門坂を下って、大門坂バス停から那智駅方面に戻る選択肢もありだと思います。
改めて、選択肢を確認します。
- 大門坂:上がる?上がらない?下がる?
- 那智の滝:先に行く?後に行く?
- お土産:那智山観光センターに寄る?寄らない?
まとめ|熊野三山巡りは車なしでも「順番と準備」で成功する
熊野三山は、車なしでも1日で“正しい順番(本宮→速玉→那智)”で巡れます。
成功の条件ははっきりしていて、
- 午前中のバスで熊野本宮大社を往復すること(逃すと崩れる)
- 各地の滞在時間を読み違えず、巡る優先順位を決めること
- 悠遊フリー乗車券で移動の判断を軽くすること
この3点です。
熊野は「有名だけど、行くのがちょっと大変」だからこそ、たどり着いた時の達成感が段違いです。
昔から多くの人たちが参拝に訪れた大自然に囲まれた神聖な熊野は、特別な空気に包まれており、個人的に行って良かった場所の最上位に入ります。
熊野が有名になった背景としては、上皇たちが熊野を”よみがえりの地”と信じ、現世から近い浄土に足を踏み入れ、一度死ぬことで魂が浄められ生まれ変わる、再生をはたすという思想があったからです。
車なし旅派の皆さん、熊野で日常で疲れた心と体を癒し、生まれ変わりに行きませんか。







